保険資本基準:韓国と日本の最新動向

執筆者:アクチュアリーコンサルティング・リード、パク・ボム、シニア・アクチュアリーコンサルタント、山田敬一朗、RNA Analytics 。

規定資本要件(PCR)としての保険の国際資本基準(ICS)に関する公開協議は2023年9月に終了し、国際保険監督者国際機構(IAIS)による同基準の経済的影響に関する最終的な評価が始まっております。来年末までに発効する予定のこの基準は、2024年に世界の保険会社にとって最も重要な規制の進展となることが予想されます。

2007~09年の金融危機を受けて2013年に発足したICSの最終的な目標は、国際的に活動する保険グループのための単一の基準を確立することであり、これには、国・地域間で比較可能な結果を達成するため、資本基準をよりよく整合させる共通の手法が含まれます。

この10年間の開発期間中において、実施のアプローチとスケジュールは国によって異なってきております。

韓国では、ICS を基準としたK-ICS が2023 年1 月に施行されました。そのことから、韓国の保険会社のソルベンシー評価には、その資本構成やリスク・プロファイルから様々な影響を受けるようになります。K-ICSの核心は、保険会社が強固な資本準備金を維持し、保険契約者を効果的に保護し、そのリスク・プロファイルを韓国のダイナミックな経済状況に合致させることにあります。

韓国の従来のリスクベース資本制度から比べると、K-ICS は大きく異なっております。第一に、K-ICS は資産と負債の両方について時価評価を採用することを保険会社に義務付けております。これは、保険会社の財務状況をより正確に評価するための基本的な転換を示しております。第二に、K-ICS は、長寿リスク、解約返戻金リスク、事業費リスク、巨大災害リスクなど、旧制度では除外されていたリスク・カテゴリーを包含することで、保険会社が考慮すべきリスクを、より包含するよう設計されております。さらに、K-ICS は規制資本制度の所要資本の算出に用いられる信頼水準を99%から99.5% に引き上げております。

RNAのK-ICS™ソリューションは、K-ICSへの正確な適用を確保するため、K-ICS報告の複雑さに対応するよう特別に設計され、保険会社が必要なデータや情報を効率的に収集・処理できるよう、エンド・ツー・エンドで合理化されたK-ICS ソリューションを提供しております。

K-ICSは保険会社の経営戦略を大きく変えると予想されておりますが、現地の規制当局である金融サービス委員会(FSC)によれば、2023年9月末時点で、生保12社、損保6社、再保険会社1社が経過措置を適用しており、残りの34社は現在、全面的な適用手続き中となっております。

また、当社のK-ICS ソリューションで得られた知見は、日本向けのICSであるJ-ICSに向けた弊社ソリューションにも活用されております。日本でも、ICSを基準とした新たな資本規制ルール、すなわち経済価値ベースのソルベンシー規制(ESR)が導入される予定です。リスクに対応する資本量という概念は日本にとって新しいものではありませんが、新制度では経済価値に基づくという点が現行との大きな違いとなります。

これは、現行のソルベンシー制度において、ロックイン・アプローチを基準としていることから、保険負債の評価に一定の限界があり、それゆえにリスクを包括的に評価・理解する能力にもある程度の限界を有することが認識されております。

新しいソルベンシー制度の導入は、各リスクの細かく明示的なリスク評価のアプローチをもたらします。このことから保険会社は独自のリスク戦略を策定し、実施することが予見されます。

RNA Analytics' R³S J-ICSパッケージは、J-ICSのためのR³S Standard Code モデル(モデルテンプレート)であり、J-ICSに準拠したアプローチをコスト効率よく採用するための標準計算式によって構成されております。

また、J-ICSパッケージは、2025年度に開始が予定されている日本版ICSの開発動向に迅速に対応できるように開発されており、RNA Analyticsは、こうした規制の変化を反映して定期的にパッケージを更新しおります。このツールにより、ユーザーは業務効率を向上させ、金融庁のテンプレートに準拠した内部統制を強化することが可能となります。

加えて、日本の新しいソルベンシー制度は、厳格なガバナンスへの要求を定めており、J-ICS パッケージとWorkflow Managerの強力な監査機能を併用することで、利用者は金融庁の期待する基準を満たすためにガバナンスを強化することがでます。

金融庁は2025年度から新制度を導入し、2026年3月に最初の開示が行われることが予定されております。実際の実施日が近づくにつれ、日本の保険会社はJ-ICSへの準備が急務となっている状況です。

RNA Analyticsは、2024年以降も、ICSの導入やその他の複雑でグローバルな規制上の課題について、多言語に対応する専門チームがお客様をサポートし、ご案内いたします。

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